偏好文庫-「好き」を解釈し続けるメディア-

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Hudie『アジ』

今最も音楽フリークが注目しているシンガーは誰かと言われたら、迷わず Hudie(フーディエ)だと答えるだろう。人気音楽番組で音楽プロデューサーの古河内音叉朗が絶賛したデビュー曲『お前の話なんて聞いてない。』の MVが1ヶ月で1億回再生を突破した、正体不明のシンガーソングライターだ。

素性は不明、素顔は長い前髪とパーカのフードでほととんど隠され、年齢も性別もわからないその謎めいた姿に、なにものにも縛られず流動的な存在でありたいという願望を現代の若者たちが投影するのは当然だろう。SNS での歯に衣着せぬ物言いにも注目が集まる 彼/又は彼女のメジャー1st EP のタイトルは、“アジテーション”を意味する『アジ』。鯖缶を想起させるパッケージを用いたジャケットがいかにもユーモアのある印象を掻き立ててくるが、一度聴いたら忘れられない巧みな歌メロと中性的な色気のある歌声がロックにシューゲイザー、ジャズにポップスとジャンルを飛び越えて表現するのは、Hudieの持つある種キャッチーな“新時代のカリスマ”像からは想像も出来ないほどに濃密な死生観、生と性と死を赤裸々に語る言葉たちだ。

中でも狂気の煽動者と泥をかき混ぜる攪拌機のダブルミーニングが込められたリードトラック『マッドアジテーター』には脱帽。どろどろと渦巻く正に泥濘のようにグロテスクなモチーフの中から咲き誇る蓮の花の如き生命力は、決して15秒のSNS動画では消費しきれない。

 

※引用元冊子はこちらを参照↓

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